P.I.E.

P.I.E.:防止(Prevention)、介在(Intervention)、教育 (Education)プログラムについて

ECS講師Chayneが、世界中の情報をもとに、日本人にあまりなじみのない、がんの予防と治療に関する資料を、P.I.E.プログラムとして、まとめました。その英語文章を、ECS生徒さんや関係者にご協力いただき日本語に翻訳した内容を公開しています。
日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなると言われています。なぜ、風邪をひくのか、なぜ虫歯になるのかを知っている人は多いと思いますが、なぜがんになるのかを知っている人はごくまれで、風邪予防のために、うがいや手洗い、マスクを着用したり、虫歯予防のために、歯を磨いたりするのに、がんの予防のために、日常的に何かをしているという人はあまり聞きません。また、早期発見、早期治療を目的とした健診の機会やいざというときの為の保険の情報は、沢山あるのに、がんの予防に関する教育を受ける機会や情報は残念ながらほとんどありません。このP.I.E.が、ご自身やご自身の大切な方のがん予防に限らず健康の一助になれば幸いです。翻訳、文章校正にご尽力いただきました関係者各位には、この場を借りてお礼申し上げます。

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引用文献は、全て英語になります。


はじめに ~がんをやっつけるには、がんの習性を知ること~

P.I.E.:防止(Prevention)、介在(Intervention)、教育 (Education)
人の体を害するがんなどの病には主因と副因があります。その多くの副因に加担しているものに「糖質」があります。がんが治らない患者はがんそのもので命を落とすのではなく、その副作用でかかった病や疾患で命を落としてしまうのです。ただし健康維持のために正しい運動と食生活の知識を得て実行すればそのような状況を避けることができます。このPIEプログラムは、がんの予防と治療を考えたP.I.E.:防止(Prevention)、介在(Intervention)、教育 (Education)の手引きです。

Chayne Ellis


この文書について

この文書は一般の方でも理解しやすいようになるべくシンプルな表現を心掛けています。ここに含まれる内容は全て世界中の大学・政府・研究所・製薬会社・消費財企業・製造業者などによって科学的に研究されて文書化されているものを参考文献としているほか、Dr. Cristen Couzens氏をはじめとした様々な学者や研究者が会得している知識や根拠、その他数々の資料を参考にしています。
 Couzens氏はコロラド大学の資料収蔵庫に50年前から保管されている資料を発見してその内容を調査し、調査結果を文書化して公表しました。「製糖業界が科学的事実を虚偽に情報操作して見返りを受けていた事実は、ショックでした。」とCouzens氏は述べています。Couzens氏の発見した資料によると、この当時の世論は糖分が健康に有害だと考えていました。製糖業界はその考えを覆すために逆の世論を偽造して喚起し、世論操作をしていたのです。糖質摂取に批判的な情報のメディア規制、糖質制限を勧める食事指針の妨害など、業界のロビー活動が資料に鮮明に記されていますが、これらは氷山の一角です。
 1976年、この資料の内容を基にNew York Times紙は「砂糖の苦い真実」という糖質摂取に否定的な記事を1面に掲載しました。これ以後、業界は商品ラベルの記載で「糖類」を56通りの文言で表現するなどして消費者をまどわすことに成功します。


栄養成分表示

食品の栄養成分表示は健康を維持したい人や病気(特にがん)と闘う人にとって非常に重要な指標となります。パッケージのどこかに「ヘルシー」や「砂糖不使用」と豪語していても栄養成分表示を見ると糖分が含まれていることが多々あります。

栄養成分表示の基本用語:
1食分
1食分とするサイズや量 (cc, 大さじ, 小さじ, 個数等) と、1パックに含まれる分量の記載。食品ラベルはすべて1食分を基準としています。1パックと1食分は同じではありません。

カロリー
 1食分あたりのカロリー数。「脂肪カロリー (calories from fat) 」は1食分に含まれる脂肪からくるカロリーを示します。脂肪フリー(fat-free) と書いてあってもカロリーフリーとは限りません。

標準栄養成分%
 1日2000カロリーの食生活を基準にした場合の1食分で何%摂取できるか。多く摂りたいものは数値の高いものを、制限したいものは数値の低いものを選びましょう。標準栄養成分は2000Cal/日の食生活をベースとして記載されていますが、1日の消費カロリーは人によって異なりますので、栄養士に相談して自分の基準を知りましょう。

制限すべき栄養素
 脂質(特に飽和脂肪とトランス脂肪)、コレストロール、ナトリウムの摂りすぎは心臓病、一部のがん、高血圧などの慢性疾患のリスクが増します。日々の摂取量をなるべく抑えましょう。

多く摂るべき栄養素
 多くの人は食物繊維、ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、カリウムが不足しています。健康を維持するために必要不可欠な栄養素ですので、十分に摂取することで健康を改善し、病気のリスクを減らせます。

栄養成分表ラベルの読み方
 栄養成分表の内容を読み解くには分量、標準栄養成分%(%DV)、栄養素の読み取りが重要になります。

分量
 分量は栄養成分表の最上部に1食分の量と1パックに含まれる分量が記載されています。栄養成分表を読み取るにあたってこの分量がキーとなります。
・ 食品の栄養成分 (カロリー、ナトリウム、食物繊維など)の情報は全て1食分あたりの量が記載されています。
・ 2食分食べた場合、カロリーや栄養は記載されている2倍量摂取していることになり、良いものも悪いものも2倍摂取していることになります。
・ 3食分食べたら3倍のカロリーと3倍の栄養素…といった具合で計算します。
 1食分と1パックあたりの分量を計算し、カロリーや栄養素をどれだけ摂取できるかをしっかり把握しましょう。1パックに1食分以上入っていることは、よくあることです。ソフトドリンク1本やポテトチップス1袋に含まれる分量が2食分以上なのこともよくあることですので注意しましょう。

標準栄養成分% (%Daily Value)
 %DVは1食分に含まれるカロリーや栄養素が1日の標準栄養成分に対してどの程度の割合を占めるのかを判断するための指標になります。その食品においてある栄養素が多いか少ないかの判断基準は5%以下だと少なく、20%以上だと多いと覚えましょう。
%DVアドバイス
 食品に含まれる栄養素が多いか少ないかは、%DVを見ればわかるのです。
・ %DVが5%以下だったら、その栄養素は少ないと言えます。これが良いのか悪いのかは、その栄養素が制限するべきものか多く摂るべきものかによって変わります。
・ %DVが20%を超えていたら、その栄養素は多いことを意味します。これは多く摂取したい食物繊維なら良いことですが、飽和脂肪などの制限すべきものだとしたら悪いことになります。
・ %DVを読むのに慣れてきたら2つの食品を手に取って自分の食生活と照らし合わせてみて、制限したい栄養素と多く摂取したい栄養素の%DVを比較するようにしましょう。
・ %DVを計算して1日の中でバランスを取ることも出来るようになります。例えば、高ナトリウムの昼食を食べてしまった日の夕飯は低ナトリウムのメニューを考えると良いでしょう。

栄養素
 栄養素とは、食品の含有物で栄養のために摂取する物質です。人体の機能と健康を維持するためには必要不可欠なものです。

多く摂るべき栄養素
 栄養素の中には特に重要な栄養素があります。これらは1日の食生活の中で十分摂取することが必要です。
・ カルシウム
・ 食物繊維
・ カリウム (*栄養成分表へのカリウムの記載は義務ではありません)
・ ビタミンA
・ ビタミンC

制限するべき栄養素
 摂取量を必要最低限に抑える必要がある栄養素もあります。疾患の原因になりますので、適量に抑えることが大事です。
・ 脂質全般(特に飽和脂肪)
・ コレストロール
・ ナトリウム

健康な食生活へ
 栄養成分表を利用して買うものを選び、健康を維持したり病を治したりすることできます。しかし、中には特定の疾患や持病を悪化させてしまう栄養素も存在します。栄養成分表はどの食品や飲料にも必ず義務付けられているものですので、利用しない手はありません。

重要な栄養表示用語の用語集
1) カルシウム:骨を作り強化するミネラル。骨粗しょう症の予防に役立ちます。
2) カロリー:食品や栄養素によって生じるエネルギー。栄養成分表には1食分あたりのカロリーが記載されます。
3) 脂肪からのカロリー:1食分に含まれる脂肪のカロリー。
4) コレストロール:動物性の食品に含まれ、血流を通して運ばれる必要な栄養素。LDLが悪玉コレストロールで、HDLが良玉コレストロール。
5) 栄養素:食品の含有物で栄養のために摂取する物質。
6) 栄養成分表:食品や飲料のパッケージに必ず記載されている白黒の成分表。
7) 標準栄養成分(%):一日の摂取カロリーを2000カロリーとした場合に、ある食品のある栄養素が1食分に含まれる割合(%)
8) 飽和脂肪:常温で個体の脂肪。ほとんどが動物性。飽和脂肪はいくつかの健康疾患や病気と結びついています。
9) ナトリウム:人体に必要な食塩ですが、摂りすぎると高血圧や心臓疾患に結びつきます。
10) 総脂質:体のエネルギーとなる全ての脂質。脂質によって健康への影響が大きいものとそうでないものが存在します。
11) トランス脂肪:脂肪の製造過程で液体の脂質が個体に変えられたもの。トランス脂肪に摂取目安はなく、可能な限り不飽和脂肪に置き換えるべきです。
不飽和脂肪:常温で液体の脂質。動物性・植物性の双方があります。「良い脂肪」と呼ばれます。

上記は、アメリカ食品医薬品局(FDA;Food and Drug Administration)の「Using the Nutrition Facts Label: A How-To Guide for Older Adults」の引用です。
https://www.fda.gov/Food/ResourcesForYou/Consumers/ucm267499.htm

日本の消費者庁のサイトにも同様の情報がありますので参考にしてください。
食品表示法に基づく栄養 成分表示のためのガイドライン
栄養成分表示及び栄養強調表示とは

 


1日あたりの糖分標準摂取量とその重要性

単糖・二糖・多糖のうち人体が直接吸収できるのは、単糖のみです。蔗糖(二糖)が摂取されると、胃から小腸へ移動する間にブドウ糖と果糖に加水分解され、初めて吸収されます。小腸で分解されたブドウ糖と果糖は血管内に移動して血液に運ばれ体中の組織や細胞へいきわたります。
体内に吸収されたブドウ糖はそのまま、すぐエネルギーとして使用できるわけではなく、グリコーゲン生成というプロセスを経てグリコーゲン分子に変化し、主に筋肉と肝臓内に蓄えられます。グリコーゲンは体がエネルギーを必要とするときや血糖値が下がったときにすぐにブドウ糖に戻り、利用できます。ただし体内のグリコーゲンの蓄えが一杯になるとグリコーゲン生成はストップし、ブドウ糖は脂肪や他の分子に変化して貯蓄されてしまうのです。
一方、果糖はブドウ糖のように体内に貯蓄されません。いわば、糖質は、車にとってのガソリンと同じで、体内組織を機能させ、歩いたり走ったりするためのエネルギー源です。糖質を摂ることは、車にガソリンを補給するのと同じです。要は、エネルギーです。しかし糖質を摂りすぎるとグリコーゲンを生成できなくなり、脂肪がどんどん溜まり、多くの健康問題を引き起こし、特にがんを成長させてしまう作用もあるのです。
糖分・糖質のことがある程度わかったかと思いますので、次は、がんとのつながりについて述べたいと思います。


糖質とがんとのつながり

発がんとは、細胞分裂を制御する遺伝子がダメージを受け、正常な細胞の遺伝子に突然変異とエピ変異が起きることによってがん細胞が生まれる過程をいいます。この現象が起きると細胞分裂が制御不能に陥ってしまいその細胞の正常な成長は損なわれてしまいます。急速且つ制御不能な細胞増殖は腫瘍(がん)の発生につながります。この段階ではまだ良性の場合もあります。良性の腫瘍は周囲の組織を攻撃することなく転移することもありませんが悪性の場合は他の組織や元の箇所から遠く離れた臓器・器官等に転移しながら攻撃を繰り返し、命に関わってきます。
 一方、人体も常に自分を制御するための免疫システムを持っており、がんなどの病から常に体を守る働きをしてくれています。がんにかかるリスクは食生活の良し悪しが大きく影響していると言われており、リスクを増やす食べ物、リスクを減らす食べ物があるとされています。がんによる死の60-70%が食生活・運動不足・肥満に起因すると言われています。
2016年のある研究は、糖分からのカロリー摂取量が発がんと進行に影響していることを示しています。がん細胞の発達に対する糖質(ブドウ糖) の影響を理解することで、積極的にがんのリスクを抑えられるようになります。がん細胞はアルカリ酸素環境で形成・発達することはできません(※糖質は酸性)。糖質の摂りすぎは他の病や疾患にも結びつく副作用もあります。
Dr. Otto Warburg氏の研究では、がん細胞が常にブドウ糖を栄養源としてしいることが発見されています。がん細胞は正常細胞とは性質が異なります。正常細胞は「休憩」を取りながら活動しますが、がん細胞は休憩しません。ブドウ糖は、常に成長しようとしているがん細胞の栄養源となってしまうのです。現在、ほとんどの飲食品に何らかの糖分が含まれており、それらを毎日食べたり飲んだりすることは24時間 365日絶えずがん細胞に栄養を与えていることになるのです。がん細胞はブドウ糖のみを栄養源としているからです。


糖質過剰摂取の副作用:High Consumption of Sugars (H.C.S)

糖質を摂取すると血糖値は急激に上がり、その後急激に下がります。不安定な血糖値は気分変動、疲労感、頭痛、中毒症状を引き起こします。中毒状態になると糖質の摂取で一時的に状態が改善し、また数時間後に上記症状が起きてまた少し欲しくなって少し摂取する、というサイクルに陥ります。反対に、もともと糖質摂取量が少ない人は、そもそも糖質を欲さない、あるいは少量しか欲さず、精神バランスが良く活発である傾向が観察されています。
糖質は肥満、糖尿、心臓病のリスクを増やします。高糖質の食べ物を食べれば食べるほどこれらのリスクが大きくなることが大規模な研究でわかっており、新たな研究ではがんとの関係も示唆されています。
糖質は人間の免疫機能を低下させます。人体研究及び動物実験の結果、糖質は免疫反応を抑制してしまうことがわかりました。具体的な働きと作用を知るには更なる研究が必要ですが、バクテリアや酵母もがん細胞と同様に糖質によって成長することとこれらの有機体のバランスが崩れると体が菌に感染したり病にかかりやすくなるということも既にわかっています。
クロム欠乏症も糖質の過剰摂取の副作用の一つです。血糖値の変動を抑えてくれる微量元素のクロミウムですが、糖質の摂取量が多いとこのクロミウムが不足がちになります。科学者の9割がアメリカ人はクロミウム不足であると述べています。クロミウムは動物、海産物、植物などから摂れるのですが精製でんぷんや精製炭水化物のせいでせっかく摂取したクロミウムが吸収できなくなってしまうのです。
糖質は老化を促進します。老化の紛れもない証拠である皮膚のたるみも糖質によって促進されています。体内で血管へ吸収された糖質のうち、一部は糖化という作用でたんぱく質とくっつきます。糖化したたんぱく質は皮膚、骨、血管や臓器などの弾力性を低下させます。血流に多くの糖質が含まれていればいるほどこの糖化は加速し、体はダメージを受けて老化していきます。
虫歯の原因は糖質です。生命に関わる他の副作用より軽視されがちですが、こういった初歩的なダメージも忘れてはいけません。我々が口にするもので糖質より虫歯に悪い成分はありません。
糖質は歯周病の原因にもなります。歯周病は心臓病にも繋がります。研究が進むにつれ、歯周が原因の慢性感染症が冠動脈疾患の一因になり得ることがわかりつつあります。歯周の炎症に対する体の反応が冠動脈に対して何らかの悪さをしているという説は広く支持されています。
児童の学習能力にも影響があると言われています。ニューヨーク市では1979~1983年の間に公立校803校の校内で提供する飲食物から蔗糖を減らし人工着色料・人工香料と2種類の保存料を排除したところ、全国学力ランキングで史上最大幅の45.7%の上昇が見受けられました。
2015年の研究では菓子パンやオレンジジュース等の糖質の多い朝食を摂る児童は学習障害や行動障害が多いことが観察され、低糖質の朝食を摂っていた児童たちにはそのような傾向は見受けられませんでした。
糖質摂取量の多い児童と少ない児童を比較した結果、非常に興味深い点が2点ありました。1点は、糖質摂取量の多い児童は少ない児童より睡眠異常が多く見受けられたことです。2点目は児童に限らず全年齢層で見受けられる傾向ですが、摂取量多い児童のほうが皮膚炎や肌荒れが多かったことです。また、この傾向はその他の食生活や日々の運動量、ライフスタイルによって個人差も見受けられています。
糖質はストレスを増幅させます。人はストレスを感じると体内のストレスホルモンが分泌され体の受けた刺激に対処してくれますが、これらのホルモンは血糖値が低い時にも分泌されます。ケーキ等を食べて血糖値が急激にあがりその後急激に下がった際にはアドレナリン、エピネフリン、コルチゾール等のホルモンが分泌されます。これらは必要な時には非常に効果的なホルモンですが、必要のないときに分泌されるとイライラや不安を覚えたり、精神が不安定になったりします。
USDA(United States Drug Administrationアメリカ食品医薬品局)のデータによると、糖質を多く摂る人ほど体が必要としている栄養素(ビタミンA、C、B-12、葉酸、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄分)が摂れていない傾向がわかります。皮肉にも、最も栄養を必要としている児童や10代の若者ほど糖質の摂取が多いのです。これを長期的に続けるのは自分の体にダメージを与えながら生きているのと同じことです。
糖分が多い食品を食べることは免疫不全や免疫力の低下を招き、体を不健康な状態にしてしまいます。
体の免疫システムが正常に機能しているときは、バクテリアやウィルス感染から体を守ってくれたりがん細胞や異物を殺めたりしてくれます。しかし正常に機能しなくなったときは、がん細胞やウィルス感染から守られなくなってしまい病気にかかりやすくなっていまいます。


集中力と記憶力への影響

糖質が脳に快楽を与えることはすでに立証されていますが、脳に対してその他の作用もあることがアメリカの最新の研究でわかり始めています。糖質を摂取した後難しいタスクに挑戦した場合(例えば難しい数学の問題)、脳内の視床下部は多くのコルチゾールを分泌します。このストレスホルモンは記憶を妨害することで知られています。コルチゾールの分泌量の多い児童は学校の授業で集中力を保てなくなったり、落ち着きがなくじっと座っていられなくなったりします。集中していない児童に教えたことが身につくはずがありません。ただ、こういった集中力や記憶力の低下は摂取している間の一時的なものでもあるので、糖質の摂取を制限することによって本来の集中力と記憶力を発揮することは難しいことではありません。とはいえ、最新の研究では、あまりに若いうちから多くの糖質を摂取し続けてしまうと長期的な影響を受けてしまう傾向も見受けられています。児童の糖質摂取はその直接的な作用のみの問題ではなく、児童が成長過程で失うものの大きさも含めた問題として捉えないといけません。
サウスカロライナ大学の研究では糖質が脳に悪影響を与え学習能力を低下させることを科学的に証明しました。児童の糖質摂取を制限することがその子本来の学力を引き出すために必要不可欠であることを覚えていかなければなりません。
アメリカ心臓協会は1日当たりの糖分の摂取量を小さじ4杯(16g)に制限することを推奨しています。ソース類やドライフルーツ、味付きヨーグルト等は一見糖分が使われていないように見えるかもしれませんが、使われているものがほとんどですのでしっかり確認しましょう。
糖質が人体にもたらす悪影響を知った今、今までの食生活を改善したくなっていることでしょう。その第一歩として、どの食品に糖分や糖質が含まれているかの知識をしっかり身に付けることが大事になります。全然甘くないものでも糖質を大量に含むものはたくさんあります。
コンビニ弁当や加工食品を買うときは必ず成分表示を参考にしましょう。「低糖質」「ダイエット食品」と豪語しているからといって糖分が入っていないとは限りません。

それでは、がん細胞が糖質を栄養源にしていかにして成長していくかを理解していきましょう。


Otto Heinrich Warburg (オットー・ハインリヒ・ワールブルグ)

オットー・ワールブルクは物理学者 の父Emil(エミル)の息子として生まれ、生理学者と医師として活躍しました。Warburg氏はがん細胞の代謝作用と細胞の呼吸作用(特にがん細胞) の研究を行い、1931年に呼吸酵素の発見でノーベル生理学賞を受賞しています。1923年を始めに46回のノミネートを受け、1931年は13個のノミネートを受けての受賞でした。
オットー・ワールブルク氏は多くの科学的新発見をしてきました。我々に最も身近なものが、がんの発達と糖質の関係でした。彼は1931年にがん細胞の代謝作用が正常細胞の代謝作用とは、根本的に異なることを発見しました。悪性腫瘍では通常の細胞より多くの解糖作用(ブドウ糖有機酸等に分解される作用) が発生していることを発見したのです。
 がん細胞はブドウ糖を好み、ブドウ糖でしか成長しませんので、砂糖、精白小麦粉、ブドウ糖果糖液糖(HFCS)などの精製炭水化物は、がん予防・治療したい人にとっては非常に危険ということになります。ブドウ糖は、がん細胞の栄養源となり成長を促進します。私たちの体は口から摂取した食物を胃酸や酵素など体内の液体と混ぜることで消化していますが、この消化作用により炭水化物は、ブドウ糖に分解されるのです。


PETスキャン

がん細胞は正常な細胞の200倍の速さでブドウ糖を消費します。これはがん細胞の発達を検知するのに最も正確とされるPETスキャンによって発見されました。PETスキャンはブドウ糖に放射性物質を結合し、そのブドウ糖を含む砂糖水を患者に飲ませて、スキャンするとブドウ糖がどこに(どこのがん細胞に) 集まっているかがわかるというものです。
 がん細胞はブドウ糖という種類の糖類を好んで栄養源とします。スポーツカーがガソリンを急速に消費するように、がん細胞はブドウ糖を急速に消費していきます。がん細胞がブドウ糖を吸収すると細胞分裂の速度が上がります。これはWarburg効果と呼ばれています。
細胞にはタンパク質でできた多数のレセプター(受容体)が表面にあり、これらのタンパク質がそれぞれ異なる物質を呼び寄せる磁石のような機能を持ちます。鍵と鍵穴に合う・合わないがあるように、レセプターのタンパク質と血中の物質にも合う・合わないがあるイメージです。レセプターは通常その時細胞に必要なものだけを吸収するように各レセプターのオン/オフを切り替えながら成長していくのですががん細胞はブドウ糖レセプターをオフにしません。休憩することなく常に成長しようとします。
正常細胞とがん細胞にはレセプターに大きな違いがあります。正常細胞にはブドウ糖レセプターは4つあり、オン/オフの切り替えができます。がん細胞には91ものブドウ糖レセプターがあり、オフスイッチがありません。これは非常に大きな違いです。


今日から始める健康生活

糖尿病、心臓病やがんなどの慢性疾患を防ぐには、生活習慣を変えて健康な食生活を送ることが必要です。そのひとつとして、糖分の全面カットが必要不可欠な要素であることはもっと周知されるべきです。
疾患やがんにかかっていない健康体で、週に2、3回の運動を行っている人の1日あたりの糖分摂取量は25g以下に抑えましょう。これは加工食品・飲料や果物に含まれる糖分も含めての数値です。特に太りすぎ、糖尿、高コレストロール、高血圧の人にとっては、特に重要です。糖分をしっかり制限すれば以下の疾患のリスクが激減します:
・ がん
・ 心臓病
・ 肥満
・ 糖尿病
・ アルツハイマー
・ メタボリック症候群
・ 湿疹
・ 胃炎、胃潰瘍などピロリ菌による疾患
 ピロリ菌とは胃の中で生息し、胃の免疫量が低下したときに様々な攻撃をしかけてくるらせん状のバクテリアです。
ピロリ菌に多く感染している人は胃がんになるリスクが高くなることが研究でわかっています。しっかり栄養を取ることでピロリ菌による消化性潰瘍を防ぐことができます。糖分やお酒の過剰摂取や喫煙は消化性潰瘍を悪化させ、治癒を遅らせます。このとき、胃の中のがん細胞が形成・成長しやすくなります。

1日あたりの糖分摂取量を25g以下
 今の健康状態を改善したければ1日あたりの糖分摂取量を25g以下に抑える必要があります。これは健康体の数値ですので、もし現時点でがんや疾患にかかっていたり既に高いリスクを負っていたらこの数値は10gに修正しないといけません。適度な運動も必要です。すでにがんにかかっている人は糖分摂取ゼロを目指さないといけませんが、果物を食べて少量を摂るぐらいは許されます。
定期的な運動は体の免疫システムを向上させる効果がありますが、糖質過剰摂取の埋め合わせには絶対になりません。逆に、過剰摂取はせっかくの努力を無駄にしてしまうのです。
世界中の医療関係者が言うように1日の糖分摂取量が25gを超える人はがんなどの慢性疾患にかかるリスクが著しく高くなりますので、ぜひ真剣に自分の健康を考え、糖分の摂取量を制限してほしいのです。

あなたの健康は、あなた次第です。


つづく